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  • 2010.11.03 Wednesday
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店員にえらそうな男と、それに白ける女

  『こんな男は嫌だ』で女性からアンケートを取ると、雑誌やTVでよく上位に挙がるのが「外食するとき、レストランなどで店員に態度がでかい(タメ口、ミスを叱りつける、無理な要求をする等)」。僕は男ですが、自分はやらないし、これを女の人が嫌う気持ちもとてもよく分かります。
 ただこれ、男性側の観点から意見を言わせてもらうと、多分かっこつけてるだけなんじゃないかなーと思うんですね。きっと一人で店に入ったら普通なんです。つまり、意識してるのか無意識なのかは分かりませんが、食事しているときに一緒に居る女性(もしくは同性でも年下やら後輩など目下の人間)によく思われたいからそんなワイルドな態度を取っているだけなんです。逆効果なんですけどね。
 残念ながら、彼らはそれが格好いいと考えているんです。女性はその事実を知ったら白けるでしょうか? 程度もありますが、できれば笑ってすませてやってください。美しくなろうとして化粧が濃くなっちゃうのと、同じ程度のことだと思うんです。

 ではそもそも女性側がなんでこれが嫌なのかと言うと、現代の女性は一般的に「優しいけど男らしい(頼りになる)人」が好みだからだと思います。僕の知っている限りでは年配の女性は今回のような男の態度をそんなに気にしていません。昔は男らしいことだけが求められていたんでしょうが、女性自身が強くなったので、今度は優しさが…いえ、優しさ“も”求められるようになってるんでしょうね。


ラッキー・ケミストリー

   先般ノーベル化学賞を受賞した鈴木章さんがユニークな方で、インタビューで今までの研究過程について“ラッキー・ケミストリー”という表現を用いていました。これは面白い!
 ケミストリーという言葉はミュージシャンの相性について肯定的に使ったりしますが、chemistryは英語で「化学」から転じて「化学反応」→「不思議な作用」→「(人や物との)出逢い」という意味があります。
 鈴木さんはそこに、人には謙遜にも聞こえるlucky(たまたま)という言葉を加えて、“lucky chemistry”と言った。研究が成功したのは幸運ではあったけれど、ただの偶然ではなくて、つまりそれ自体が人の起こした化学的な作用だったというわけです。実に科学者らしい観点のコメントで、気が利いていますね。
 受賞おめでとうございました!


ツイッター小説のテクニックその1『掛けオチ』

 131文字で書くツイッター小説には、独特の修辞(テクニック)があります。文字数制限の中で生み出されているので、短歌のそれとよく似てますね。最初はなーんも考えてなかったのですが、何作か書いていくと知らないうちにその技術が発達していっていることに気づきました。明文化しておきましょう。

 例えば『掛けオチ』。駆け落ちじゃないですよ。…話を戻しましょう。短歌などで使う修辞に『掛け詞(かけことば)』というのがあります。要するに同音異議で、実はさっきの『掛けオチ』と『駆け落ち』もそうですね(伏線です。ダジャレが言いたかったわけではありません(笑))。有名なのだと百人一首の小野小町の歌にこんなのがあります。

  花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に

 『ながめ』『ふる』のところが平仮名になっているのがミソです。これは、『長雨』と『眺め』、『降る』と『経る』が掛けてあるんですね。この歌は簡単に言うと「雨が続いて花の色が落ちちゃった」という意味に「世を眺めて暮らしているうちに美貌が衰えちゃった」という意味を被せているのです。
 さて、ではツイッター小説における“掛けオチ”とはどんなものかというと、話のオチが2つ以上の意味に掛かっていることです。まず以下の拙作を読んでみてください。

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吸血鬼の牙の診断を終えると、若い歯科医は頷く。
「治療経過は順調です。もう痛み止めなしでも食事ができるでしょう」
吸血鬼は興奮を抑えられず、身を乗り出す。
「先生、貴女で試していいかね?」
「虫歯になるのも無理ないわね…貴方が出会ってきた女ほど、私は甘くなくってよ」
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 お分かりになられたと思います。これは糖分の「甘さ」と人間の「甘さ」の『掛けオチ』です。吸血鬼に血を吸われてきた女性を「甘い」と評したのは本当に女医さんのブラックジョークなのでしょうか?物理的に甘いものを食べないと、虫歯になるわけありません。でも吸血鬼自体が架空の存在なので、そんなこともあるのかな、というおかしみがここにはあるんですね。これが今のところ、柳猫の作品で最も上手く掛けることのできたパターンです。
 ちなみに掛け詞も『掛けオチ』も音が同じで意味が違いますが、掛け詞の場合は音が同じでも漢字にすると異なり、『掛けオチ』の場合は漢字も音も同じで意味だけが異なります……あ?理屈はいいですか、はい(笑)

 もし短歌を読むときに掛け詞を知らなかったら、その楽しみは減ってしまうと思います。ツイッター小説における『掛けオチ』も同じ。少なくとも僕の作品ではそうでしょう。これを読んでいるあなたがもしツイッター小説を書いているなら、試しに『掛けオチ』を意識して作ってみて欲しいなと思います。

 参考までに、以下の場合も『掛けオチ』です。

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速度計を振り切り、鮮やかに峠を駆ける。華麗なドリフト。
F1レーサーの俺が乗り回せば、普通車さえこれほどの走りを見せる。
彼女はもう完全に俺に酔っている。言葉もない助手席に声をかけた。
「どうだい?」「……」
次の瞬間、彼女は俺に抱き着く。それから一発、げーっと吐いた。
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(※ドライバーの男性に「酔う」ことと、車に「酔う」ことの『掛けオチ』)

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ポン吉は狸のくせにやたら生真面目で、上手く化けられないことに日々悩んでいた。
基本である木の葉にすら満足に化けられない。
仲間によれば「化けの極意は思い込むことさ」。
特訓が始まる。春が過ぎ、夏が終わり、山が秋めいて落ち葉に埋もれた頃、
彼は遂に自分を見失ったのだった。
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(※悩み過ぎて自分を「見失う」ことと、木の葉に化けるのに成功して視覚的に自分を「見失う」ことの『掛けオチ』)


ツイッターには顔がある

 最近ツイッターを始めました。
 これをやってて興味深いのは、人を名前よりアイコンで覚えていることです。僕はツイッター小説を書くコミュニティ(#twnovel)みたいなところによく参加しているので、大勢のアマチュア作家さんの作品に触れるんですが、その人たち一人一人のことはよく知りません。各人のプロフィールを見ているとキリがないからです。そこで、いつの間にか彼らをユーザ名よりアイコンのイラストで視覚的に覚えてしまいます。そのうち、『あれ?このアイコンの人って余所で見たことあるな』みたいなことも起こる。
 実に奇妙に思えますが、これって普段の生活で、人を名前でなく顔で覚えることがあるのと同じですよね。アイコンは自分で自由に設定できますから、ツイッター社会は名前だけでなく顔まで自分で決められるということになるんですね。多分、元々の知り合いでなければ、アイコンを替えられただけで誰だか分からなくなるでしょう。顔を替えられるなんて、やっぱり奇妙かも。
 ちなみに僕の顔はまだ、初期設定。生まれたてのままです。何か自分で描かなくちゃ。